『Baggage Claim(荷物受取所)』

Baggage Claim

短編映画のクオリティを超越した『Baggage Claim(荷物受取所)』

短くても内容は充実!短編映画の面白さを堪能できるのが『Baggage Claim(荷物受取所)』の魅力です。ワハハと笑い、ほうと感心できるこの一本。見ておいて損はありません。

<『Baggage Claim(荷物受取所)』あらすじ>
空港の到着ロビーにある荷物受取口で自分の荷物を待っている男が一人。楕円形のコンベアの向かい側にはタバコを吹かしながら立っている女が一人。空港警備員が女に寄っていき、禁煙区域である旨の注意を行う。女は素直にタバコを床に捨てる。
他に荷物を待っている者は誰もいない。すぐさま新しいタバコに火を付ける女。挨拶程度の声をかける男に対し、女は賭けを持ちかける。その内容とは、どちらの荷物が先に出てくるかを競うものだった。 男が勝ったら、賞品は一度きりのメイクラブ。
目の前のコンベアではゲージに入ったチワワが何周も回っているだけで…。

<短編映画とは思えない内容の充実度>
この映画は2007年のスペイン作品で、本編はわずか10分という超短編映画です。10分ではなかなか深い作品は作れないものですが、この作品は非常に秀逸な仕上がりとなっています。 といっても、10分の映画ですから「大袈裟な」ものではなく、気軽に笑える中に「なかなかやるね」と思わせるエッセンスが詰まっているのです。下手な長編映画を見るよりも納得できる一本です。

<落ちが見えたと思わせて>
賭けの内容が至ってシンプルであるため、観客は自然にその勝敗を予想します。しかも、それなりの理由を映像の中から準備して答え合わせを待つように。
「チワワがどちらかの荷物に違いない」
「結局、どっちの荷物も出てこない」
「他人の荷物を自分の荷物にするんだろ」
と、いろいろな想像が膨らむ場面です。各人にとって「落ちは見えている」のです。

<ちゃんと用意されているどんでん返し>
勝敗が付いて「ああ、やっぱりな」と思った人と「ウソだろ」と悔しがる人がいる。それだけでもこのような超短編映画としては大成功といえるでしょう。しかし、そこで物語は終わらないのです。 エンドロールが流れ出して、終わりかと思っていると、音楽がよたって画面が変わります。
ここで別の人物が登場して、実はそうではなかったと判明します。予想の当たり外れがひっくり返る場面ですが、なんとなく当たってもうれしくないモヤモヤ感がクセになりそうな作品です。

<役者の力量がものをいう>
このタイプの作品は動きも場面展開もほとんどなく、セリフさえも大した分量ではありません。それなりの尺をとっている映画ならともかく、俳優の力量がなければ2分もすれば飽きられてしまうでしょう。
表情豊かな女優さんと、主張し過ぎない男優さんの、味のある名演技が脚本の良さを引き出しているのです。大人の男女の駆け引きも面白い、30代になったらじっくり味わいたい映画です。

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