『ダイ・ハード』

ダイ・ハード

「ダイ・ハード」は日本人に脅威を感じたアメリカ映画

ダイ・ハード | Movie Walker

1980年代は日本がアメリカに追いついた時代といえるでしょう。かつて「安かろう悪かろう」と言われていた日本製品が安い上に最高級品であることが世界中に知られ、アメリカの経済はボロボロになりました。日本の車がアメリカ中で売れ、逆にアメリカの自動車産業は衰退します。大統領がビッグ3(自動車大手3社)の社長とともに来日して、日本政府にアメリカ車の購入を迫ったりもしました。

「ジャパン・アズ・No.1」という本がバカ売れし、日本経済がもはや世界のトップに立ったとまで言われます。80年代後半に始まったバブル景気のおかげで、日本の企業がアメリカの不動産を買いまくるということもありました。国際的な地位を揺るがされ、アメリカ人のプライドが傷つき、国民が自信を失い始めた時代。

そんなときに、登場した映画が「ダイ・ハード」。「なかなか死なない男」「不死身の男」「頑固者」などの意味を持つこのタイトルには、アメリカの願いが込められているとも考えられます。ブルース・ウィリスの大出世作ともなりました。

<なぜ日本企業が狙れたのかよくわからない!?>
映画の原作は、1979年のロデリック・ソープの小説「Nothing Lasts Forever 」。「永遠に続くものはない」というような意味のタイトルです。「何ごともはかないものだ」という意味にもなります。考えようによっては、「日本の発展などはかないものさ」という意味にとることもできるでしょう。

舞台はロサンゼルス。ニューヨークの刑事ジョン・マクレーンが、別居中の妻に会うためにロサンゼルスに来たところで事件に遭遇します。妻のホリーは「ナカトミ商事」という日本の企業の重役という設定です。役を演じた女優ボニー・ベデリアには、あまり大きな役割はありません。彼女は、この映画の後に「推定無罪」に出演していますが、そちらでは、「真犯人」という役柄です。

テロリストに占拠された「ナカトミ商事」の高層ビルの中で、主人公マクレーンと犯人たちとの戦いが描かれ、最後は主人公が勝つというストーリーですが、「ナカトミ商事」という日本企業である必然性はまったくありません。日本の会社が狙われた背景説明もなく、奇妙な和風のオフィスが登場するだけ。

ちなみに、アメリカには「商社」というものがないため、一般のアメリカ人には「ナカトミ商事」が何の会社なのかはわからないと思われます。単に日本の最大級の会社として「商事」が選ばれたということでしょう。国際的には、日本の商社の力が「脅威」に感じられていた時代を反映しているのかも知れません・

<日本人があっという間に死ぬ、という映画です>
「ナカトミ商事」の社長は「タカギ」。場面設定は日本企業なのに登場する日本人は社長ただ一人だけです。そして、登場して何分も経たないうちに、あっさりと殺されてしまいます。「日本人なんてとるに足らないよねー」「簡単に死んじゃうんだよねー」という主張が隠されているようです。

「ダイ・ハード」は日本が経済力で国際的にのし上がり、アメリカを追い越そうとした時代背景の中で、アメリカの強さを演出した映画と言えるでしょう。日本人にとっては侮辱的な面もあるかもしれませんが、「アメリカを怖がらせた日本の強さ」を感じられて面白い映画です。

TO TOP