『卒業』

卒業

「卒業」は表情と音楽とで語る映画の最高傑作

卒業 | Movie Walker

ダスティン・ホフマンとキャサリン・ロス主演の映画「卒業」は、映画史に残る恋愛映画です。ホフマン演ずるベンジャミンが元恋人のエレーン(キャサリン・ロス)の結婚式に乱入、「エレーン」と叫んで彼女を奪い去るシーンは、衝撃的なラストとしてとくに有名です。ダスティン・ホフマンの演技は素晴らしく、特にセリフのない場面での表情だけで物語る部分は秀逸です。サイモンとガーファンクルの音楽とも絶妙にマッチして、映像で「語らせる」映画となりました。


<ストーリーはシンプルなのに奥深い>
物語は単純な話です。一流大学を卒業したものの、主人公ベンジャミンはこの先何をしたらよいのか迷っています。甘やかされて育ったお坊ちゃんで、夢や目標を持てない典型的な甘ちゃん。まだ童貞です。そんな彼を両親の友人であるロビンソン夫人が誘惑してきます。彼は、夫人の誘惑に乗り初体験。その後もしょっちゅう会っては性欲を発散させます。

ところが、ロビンソン夫人の娘エレーンとデートしたことで彼の人生は変わります。最初こそいやいや付き合わされたデートだったものの、あっという間に二人は恋に落ちます。ベンジャミンにとっては、いわゆる「親子どんぶり」。しかし、この不埒な関係はエレーンにばれてしまい、彼女は彼と別れます。そして、別のまともな男と結婚しようとするのです。彼女のことを忘れられない彼は、結婚式に押しかけ彼女を奪って逃げるのでした。

シンプルなハッピーエンド。しかし、しっかり最後までみとどけると、バスの最後列に腰かけた二人の表情が、にこやかな笑顔から次第に真顔に変わっていくのがわかります。最後の最後、エンディングのセリフのない部分に、この映画の主題がこめられているのです。


<ダスティン・ホフマンの表情とよくマッチした映画音楽>
このドラマの特徴は、スタート部分でずっとホフマンの表情だけを追い、ラストシーンではホフマンとロスの表情だけを追っている部分に特徴的に表れています。ドラマの随所にセリフなしで音楽だけが流れるシーンが作られているのに、セリフがないという違和感を覚えさせません。

サイモンとガーファンクルのサウンド・オブ・サイレンスがそのタイトル通り「沈黙の音」を表現しているかのようです。ダスティン・ホフマンが表情だけで「語れる」役者であることが、この映画で浮き彫りにされました。

ちなみに、サウンド・オブ・サイレンスという曲はサイモンとガーファンクルの代表作ですが、発売当初、収録アルバムは3000枚しか売れなかったそうです。数年後にアレンジを変えて再リリースしたところ大ヒットとなりました。彼らの才能が、もっともよくわかる作品です。

映画「卒業」はラブストーリーの中でも歴史上もっとも成功した、大傑作と言えるでしょう。シンプルな恋愛ドラマを芸術にまで高めた作品です。音楽と映像とがこれほどマッチした映画作品は、めったにありません。ぜひ、もういちどじっくりとご覧ください。

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