『ジャスミンの花開く』

ジャスミンの花開く

『ジャスミンの花開く』

「ジャスミンの花開く」は中国の上海を舞台にした、三代にわたる女性の生涯を描いた作品です。チャン・イーモウ監督によって撮られました。各章の主人公たちは、それぞれ、茉(モー)、莉(リー)、花(ホア)という名前で、三人の名前を合わせた茉莉花は中国語でジャスミンという意味になります。何か大事件が起こるというわけではなく、全体的に静かな映画なのですが、それだけにリアルな中国の様子を感じることができます。チャン・ツィイーが一人三役で、三世代の主人公をそれぞれ演じています。茉は緑、莉は赤、花は青がテーマカラーになっています。それぞれの色に統一された、美しい映像にも注目です。

<『ジャスミンの花開く』あらすじ>
1930年代、写真館の娘の茉(モー)は女優を夢見ていました。憧れるだけでしたが、映画会社の社長が偶然にも写真館を訪れたことで、夢に近づき始めます。映画スターとしてこれから始めようとしたとき、その社長の子供を妊娠していることが分かります。この時期に、同時に日本軍が中国へ侵攻してきたことによって、茉は女優をあきらめざるを得なくなります。夢をあきらめる原因となった娘に対して茉は興味を持てず、母親に世話を任せきります。 1950年代、茉の娘の莉(リー)は、労働者階級の男性と駆け落ち同然に結婚しました。不妊症のため子供ができなかった莉たち夫婦ですが、養女をもらってしばらくの間幸せに暮らします。ところが、莉は疑心暗鬼で気が狂ってしまい、それが原因で夫は自殺します。莉も後を追うように姿を消しました。

三人目の主人公は花(ホア)です。血は繋がっていませんが、莉の娘です。莉がいなくなってしまったため、祖母である茉の元で育てられました。 花は地方の大学生と付き合うようになるのですが、茉には交際を猛反対されます。それでも反対を押し切って結婚してしまいます。花の夫は地方の大学へ通うため、花とは離れて暮らすのですが、長期休暇の時にも帰ってきません。この時、花は妊娠していて、一人で子供を育てることを決意します。

最後、映画は花の満面の笑みのシーンで終わります。今までの物語では、女性の不幸な人生が描かれていましたが、花は祖母や母と違った人生を歩むのではないかという希望が感じられるラストでした。

<1930年~1980年にかけての中国>
この映画では、日本ではあまり見る機会のない、今より少し前の時代の中国の様子を観ることができます。1930年から1980年の間に、中国では、日中戦争や文化大革命などの大事件が多く起こりました。歴史的な事件に大きくスポットが当たるわけではないのですが、市民はどんな影響を受けていたのかわかります。

茉の章で、日本軍が中国に侵攻したという話を聞く場面があるのですが、日本の進行を中国側の視点に立って見られるところがおもしろいです。日本人は戦争によって生活が変わりましたが、中国でも同じなんだとわかります。この映画を見ると、中国が身近に感じられるかもしれません。

中国の映画というと、アメリカやイギリスの映画に比べて馴染みがないような気がしますが、たまに違った国の作品を観ると新鮮な気持ちになれるはずです。ぜひ、三人の女性の人生を追体験してみてください。

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