『キッズ・リターン』

キッズ・リターン

心の風邪に効く『キッズ・リターン』

キッズ・リターン | Movie Walker

30代から味わう邦画
人生には、失敗や挫折がつきものです。ある程度「転倒」を経験しないと、人間として大きく成長することもできません。世界の北野武監督の傑作『キッズ・リターン』は、人生に転んだあなたに、「大丈夫、頑張ろうぜ」と優しく手を差し伸べてくれる作品です。
知る人ぞ知るアメリカのモノクロ映画の傑作『ペーパー・ムーン』。ライアン・オニールとテイタム・オニールが父娘で演じる、年のかけ離れた詐欺師たちのロードムービーです。テイタムはこの作品で、アカデミー助演女優賞を史上最年少で受賞しています。ダウンタウンの松本人志さんも「最高の映画」と断じるこの映画、ぜひとも一度ご覧ください。

<『キッズ・リターン』…あらすじ>
いつも2人でつるんで悪さをしていた、男子高校生のマサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)。ある日の出来事を境に、彼らはヤクザとボクサーという別々の道を進み始める。一度は栄光をつかみかける2人…しかし、運命は彼らを見放す。月日が流れて大人になった彼らは、再会して、母校のグラウンドで自転車に2人乗りしながら、会話を交わす。

<容赦ない北野武の厳しさ>
北野武監督作品は、登場人物への感情移入が一切ない、突き放した脚本が特徴的です。『キッズ・リターン』もその例に漏れず、若者たちに厳しい現実を見せつける作品。世の中はそんなに甘いもんじゃないぞ、と冷ややかに説教していきます。しかし、ところどころ織り交ぜられるギャグ的な要素が、見る者にそこまでプレッシャーを感じさせません。

<でも人生はやり直せる>
あまりにも有名な最後の台詞について、ここではあえて紹介しません。あなた自身の目と耳で確かめてください。しかしひとつだけ言えるのは、『キッズ・リターン』は再出発の物語だということ。どんな境遇にある人も、気持ちの持ち方ひとつで明るく生きられる、ということを、ラストシーンの名台詞が教えてくれます。
実際、いわゆる「落伍者」と言われる人たちにも、いくらでもチャンスがある時代です。就職に失敗した若者、リストラされたオーバーエイジ、性的な機能がほぼ枯渇してしまったお年寄り。そんな人たちも、たとえばハローワークで求人を探したり、視覚教室で勉強したり、メンズクリニックでバイアグラを処方してもらえば、立ち直れる可能性はあります。たった一度の失敗で、すべてが台無しになることはほとんどありません。
大切なのは、希望を持つことです。『キッズ・リターン』を見れば、自然と体の中に力があふれてくるでしょう。心が折れそうなとき、1人で静かに鑑賞したい作品です。

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