『素晴らしき日曜日』

素晴らしき日曜日

黒澤明監督が1947年に撮った白黒映画『素晴らしき日曜日』

素晴らしき日曜日 | Movie Walker

この映画は、黒澤明監督による白黒映画です。1947年に公開された古い映画です。宣伝用のポスターもいかにも昔の作品という雰囲気です。この話は、終戦直後の貧しいカップルが何をやってもうまくいかない日曜日を過ごし、それでも希望を失わない話です。

<『素晴らしき日曜日』あらすじ>
終戦直後のある日曜日、主人公の雄造と恋人の昌子はデートします。しかし、貧しい二人の所持金は35円しかありませんでした。35円は現代の感覚でいうと、大体350円くらいの感覚です。今の感覚で考えても少ない金額です。
お金がない主人公たちが、この映画で過ごす日曜日は不運続きでした。二人は一緒に暮らせるような家を探すのですが、探しても、もちろん彼らに変えるような家はありません。アパートも見に行く二人ですが、ボロボロのアパートでさえ家賃が600円だと言われ、途方にくれます。
しかし、二人は気を取り直して公園に行ったり、友人の経営するキャバレーに行ってみたりと、何とか明るい日曜日にしようとします。
日比谷公会堂で行われる、シューベルトの未完成交響楽のポスターを見つけ、昌子はここに行きたいと言います。普通席の料金は10円で、二人にも払うことができます。並んで券を買うのを待つ二人ですが、もう少しで順番という所でダフ屋が券を買い占め、普通より高い金額で売り始めたため、二人は券を買うことができなくなりました。後ろに並んでいた客たちは仕方なく高くなった券を買っていますが、ぎりぎりのお金しか持っていない二人にそれはできません。雄造はダフ屋に定価通り売るように抗議します。しかし、ダフ屋は応じず、喧嘩になり、雄造は叩きのめされます。惨めな気持ちで二人は日比谷公会堂を後にしました。
その後二人はコーヒー店に入ります。そこでもぼったくりのような目にあってしまいます。重い足取りで歩く雄造と昌子ですが、自分たちが将来喫茶店を経営するなら、あんな店ではなく、おいしいコーヒーを安く入れる喫茶店にしようという話をします。焼け跡の一角で、喫茶店の真似ごとをしているうちに、二人は元気を取り戻します。
気を取り直した二人は、日比谷の野外音楽堂に入りました。さっきは券が買えず入れなかったけれど、野外の音楽堂ならば入ることができます。ここでも二人は音楽団の真似をします。指揮者のようにタクトを振る真似をする雄造と喜ぶ昌子ですが、風が吹いて邪魔され、雄造は心が折れてしまいます。
昌子は観客に向かって応援を呼びかけ、応援によって雄造は立ち上がることができました。野外音楽堂には響くはずのない未完成交響楽が流れます。

お金がなくても楽しい
二人は貧しいし、戦後の東京は殺風景ですが、それでも前向きな二人に胸を打たれます。1947年の日本には、まだ戦争の傷跡が残っていて、絶望的な気持ちにもなりかねない場所でした。映画にも貧困や浮浪者の子供など厳しい現実がたくさん出てきます。けれど二人は、何度も現実を突きつけられながらも希望を失いません。
将来の夢を語ったり、何もない場所で演奏しようとする姿は、観ていて応援したくなります。 お金がなくても希望さえ失わなければ、幸せでいられると伝わってくる映画です。

作品について
この映画の撮られた時代が、実際に終戦直後だったため、生の戦後の日本を見ることができます。東京が舞台なのに、何もないだだっ広い地面が広がっていて驚きます。浮浪者の少年がいたり、ドラえもんに出てくるような土管があったりと時代を感じさせます。昔の日本をリアルに映像で観てみたい方も楽しめると思います。
また、この話では、ヒロインが観客に向かって応援を呼びかけるという印象的なシーンがあります。落ち込んでいた雄造ですが、観客の応援により、何もないステージで「未完成交響楽」が流れるという演出になっています。この話が公開された1947年に、そのような演出の映画を作ったのかと思うと驚きます。
素晴らしき日曜日は平凡なカップルの派手ではない日曜日を描いた作品ですが、観ると前向きになれる映画です。また、約70年前の映画ですが、今なお色褪せない作品です。昔の映画が観てみたくなったら、ぜひ一度ご覧になってみてください。

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